とこなめ土管ロケットストーブ工房 ないしょ話4 耐火材と断熱材

2013.01.16 Wednesday 金田寿正

断熱がロケットストーブの性能を左右します。パーライトを固着させて煙道を形成する方法を考案しました。それに最も適していると思われる材料を厳選しています。

 

【パーライト】

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特に、黒曜石からつくられたパーライトの芯には空気が含まれているため、断熱性・保温性が高く、耐火性(1380℃)にも優れた無機質素材です。

芙蓉ビーナスライト5号(2.5mm~5.0mm)を使用します。

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↑ 粒に多くの気泡が含まれている。

【キャスタブル耐火材】

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信頼のAGCセラミックス製「アサヒライトキャスター」を使用します。土管の内側にパーライトを固着させ、断熱層を形成します。

http://www.agcc.jp/2005/order/form.html

【熱硬性モルタル】

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日本製のSK#32を配合します。煙道表面のモルタルが焼結することによる強度アップと、ヒビが入った時の自己修復が期待できます。

 

【配合の最適化】

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上記の材料を様々に配合したサンプルをつくり、強度と断熱性の確認作業を行いました。

 

その結果、導き出された黄金比率と混ぜ合わせのコツは、

[体積比]

パーライト 6 ℓ
水     3 ℓ
キャスター 2 ℓ
モルタル  1 ℓ  *土管一本あたり

[方法]

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キャスターとモルタルをよく混ぜ合わせて、水に浸したパーライトをザルですくって加えます。すると、浸透圧が働いてパーライトの気泡に含まれる水が吸い出されるらしく、ふっくらと仕上がります。

後から水を加えた場合、セメント粒子が逆に気泡に吸い込まれてしまうようで、断熱効果を低下させないよう工程にも配慮しています。

 

以下 コメント


峰 孝明
たいへん興味を持って読ませていただきました。とても素晴らしいです。参考になります。
せっかく研究されたものですが、もし差し支えなければ教えて頂きたいのですが、水3リットルを加えるタイミングを教えていただけませんでしょうか。

金田寿正
現在の量産配合は、家庭用のコンクリートミキサーに体積比率でまずパーライト2を入れておき、そこに水1を入れ攪拌します。パーライトが十分水を吸い込んだことを確認した後、アサヒキャスターをパーライトと同量2入れさらに攪拌するとシャビシャビのベースが出来上がりますので、今度はアサヒライトキャスターを加えながら最適な粘度になるまで練り込みます。ちなみにキャスターだけではシャビシャビもしくはパサパサになって使いにくく、ライトキャスターは水を良く吸い込み適度な粘り気を発揮するので配合して断熱ペーストを仕上げています。ブログの手順および配合はあくまでも実験室での試作に適合したものであり、量産ではキャスター成分が条件によっては不足するらしく、うまく固まらないことがわかりました。なので、現在は上述の手順および配合でつくって失敗を防いでいます。

峰 孝明
丁寧なお返事をありがとうございました